プロローグ~下された使命~

その日——学者見習いであるシャルル・ポートナーは、
幾分不慣れな場所にいた。
「そなたが、シャルル・ポートナーか」
「はっ」
不慣れな体制で、不慣れな人…
さすがにそれは失礼かもしれないけれど、
普通ならば会うことも許されない人———
ポートシャーロットの長である、大司祭の前にかしずいている。

「そなたの師範から話は聞いておる」
神殿に深くこだまする声が、シャルルの頭上を舞う。
司祭のその言葉は、普段気楽な考えの彼にとっても、
重厚な重みを持って響いた。
「シャルル・ポートナーよ、そなたにアルフヘイム各地の見聞録の編纂——ひいては、その伝道を命ずる」
(!!)
「あらゆる地へと出向き、浩々と広く見聞きしたものを記してくるがよい」
「はっ」

挿絵1

その仰せは、先ほどの声音よりもさらに重量を帯びて、跪くシャルルの背中を押す。
責任感は、きゅっと体を引き締めた。

(まさか…、この俺が?)
のらりくらりと教えを受けてきたシャルルにとっては、
師範からの推薦は、予想だにしないことだった。
(けれど、それってつまりは…)
師範は自分の内に秘めている可能性を—

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