プロローグ~旅立ちの時~

シャルル・ポートナーが去った後、
司祭の前には、とある美しい天使が舞い降りていた。
「もう、告げられたのですか?」
「はい」
司祭は頭を下げ、天使を恭しく迎える。
「そうですか、ありがとう。
旅人に、幸あらんことを…」
細く白い腕で、天使は祈りを捧げた———

(図太い、かぁ)
頭の中で繰り返される司祭の言葉に、シャルルはがっくりと肩を落としながら歩く。
(うーん、ただ……)
ふと、自身が師範の前でしていたことを思い返した。

大聖堂や廊下などあらゆる場所で、昼でも夜でも眠ったり、
魔物が暴れていても、気にせずパンをかじっていたり、
講義中に、師範の目の前で落書きをしていたり———

挿絵1

考えてみれば、神経が図太いと思われても、
とても天才だと評価される行動なんて、していなかった気がする。
今更ながらに、これまでの行いを反省していると、
シャルルの頭上に、柔らかな光が差し込んできた。

(わ…っ、いい天気だなぁ)
神殿を出て太陽の光を浴びた瞬間、さっきまで項垂れていた気分はすっと晴れてしまう。

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