番外編「リリィの手記」

―――ZZZZ
部屋からは、ずいぶんとのんきな寝息が聞こえてくる。
「まったく、もう…」
変に意識して眠れないこっちがバカみたいじゃない。

それは数時間前のこと―――
「ねえねえ、私の部屋は?」
「えっ?ここだけど」
「あっ、アンタと同じ…?」
「それがどうかした?」
本当に何もわからないといった真っ直ぐな視線を向けられる。
「貧しい旅だし、そんなにいっぱい部屋は取れないんだ」
「ただ、いくら種族が違うからって、同じ部屋に男女って……」
「な~んだ、そんなことかぁ。
いいよ、全然気にしないし!なっ、お前達?」
え…違うっ、私が気にするんだよ。
ていうか、ゼリーたちに同意を求めても……。
「それじゃ、明日も早いから、
おやすみー!」
「えっ…ちょっ……」

挿絵1

―――ZZZZ
「はやっ!
ちょっと、シャルル…。おきてよねえ、シャルル…!」
――――――――――
――――――――
……ああもう、思い出すだけで腹立たしい。
「開いてる口めがけて、ウォータでも唱えてやろうかな~…」
恨めしく響く声にもお構いなしに、
寝息はいっそう大きくなっていく。

「…いっそ、起きてよっかな」

1/
ひとつ戻る